泡盛漫画

泡盛の作り方(製造工程)を見てみよう【泡盛漫画Q12】

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泡盛の作り方(製造方法)については、動画より文章で読んだほうが理解しやすいですよ。

泡盛の作り方をテーマにした漫画を文字で読む↓

泡盛の作り方 洗米・浸水

「泡盛の製造所に見学に行くなんて遠足みたいでわくわくするなぁ!」

「泡盛のことをよく知ればきっともっと好きになりますよ。さぁ、行きましょう!」

 

泡盛の作り方(1):洗米・侵漬

まず、洗米を行なって米についたぬかや細かなゴミを落とします。

その後30分前後水に浸してお米の芯までしっかり蒸せるようにします。

これを浸漬といいます。

 

 

泡盛の作り方(2):蒸し

泡盛の作り方(2):蒸し

次に、米を蒸してでんぷんやタンパク質を消化しやすい状態にします。

 

「すごい湯気だ!今蒸しているんだね」

「現在主流となっているこの回転式ドラムでは、洗米、浸漬、蒸しの行程が連続的に行えます」

 

 

泡盛の作り方(3):種付け

泡盛の作り方(3):種付け

蒸し上がった米に黒麹菌を散布してよく混ぜ合わせ一晩寝かせて繁殖させます。これが種付けです。

 

 

泡盛の作り方(4):製麹(せいきく)

泡盛の作り方(4):製麹(せいきく)

円盤型製麹機(えんばんがたせいきくき)へ移してもう一晩寝かせます。泡盛に必要な菌を増やして製造する、「製麹」です。

「機械でかきまぜながら十分に黒麹菌を繁殖させます」

 

泡盛製造に黒麹菌を使う理由

泡盛製造に黒麹菌を使う理由

「皆さん、泡盛になぜ黒麹菌が使われるのかご存知ですか?」

日本では、清酒、味噌、醤油などの発酵食品に黄麹菌を使用してきました。

しかし、黄麹菌は沖縄のような暖かい所では雑菌が繁殖しやすく泡盛造りには適しません。

その点、黒麹菌は、発酵する際に大量のクエン酸を発生させるので殺菌性に優れ、高温多湿な沖縄でも雑菌が繁殖せずでんぷんの消化力が強いので、そのぶん風味がしっかりしているなどの優れた点があります。

黒麹菌(くろこうじきん)とは
  • 黒い色の菌
  • 沖縄で昔から泡盛に製造されてきた伝統的な菌
  • 暑くて湿度が高い沖縄の酒製造に適した菌(製造過程で腐敗に強い大量のクエン酸を生み出す)
  • しっかりした風味を生み出す菌(原料である米のデンプンの消化力が強い)
黄麹(きこうじ)とは
  • 黄色っぽい菌
  • 清酒、味噌、醤油などの発酵食品で使用してきた菌

 

 

泡盛の作り方(5):仕込み(しこみ)

泡盛の作り方(5):仕込み(しこみ)

出来上がった麹に、水と酵母を加えて容器で混ぜ合わせアルコール発酵をさせることを仕込みといいます。仕込みを開始してから約二週間程度でアルコール度数が18%程度のもろみが出来上がります。

泡盛造りに用いられる全麹仕込みとは、麹の全量を水と麹で一度に仕込む製造方法のことです。

これに対して、沖縄県外の焼酎の二次仕込みは、米や麦でつくった麹に水と酵母を加え一次もろみを作り、これに主原料の米などを蒸したものと水を加えた二次もろみをつくって発酵させます。

二次仕込みは、もろみの濃度が薄くなり雑菌に汚染されやすいので、沖縄の気候には不向きな製法です。

また、麹の濃い全麹仕込みで造るからこそ泡盛独特の風味が誕生します。

 

全麹仕込み(ぜんこうじしこみ)とは

  • 麹の全量を水と麹で一度に仕込む製造方法
  • 濃い麹を使用することで、酒の味わい深い風味を生み出す製法

二次仕込み(にじしこみ)とは

  • 米や麦でつくった麹に水と酵母を加え一次もろみを作り、これに主原料の米などを蒸したものと水を加えた二次もろみをつくって発酵させる製造方法
  • もろみの濃度が薄くなり雑菌に汚染されやすいので、高温多湿の沖縄の気候には不向きな製法

 

 

泡盛の作り方(6):もろみの発酵

泡盛の作り方(6):もろみの発酵

一方、もろみの中では・・・

「ヤァ!ぼく泡盛麹菌!」

「わたし泡盛酵母!」

 

「ぼくはただの麹菌とは違って、泡盛のために生まれた黒麹菌なんだ!」

「まず、ぼくがお米のでんぷん質をブドウ糖に変えるんだ」

 

 

泡盛の作り方(6):もろみの発酵02

「そしてわたしがブドウ糖を食べると・・・アルコールが発生するの!熟成中のもろみが泡立っているのはアルコールが発生しているからなの」

 

「ふぅ〜今日もたくさん働いたね!」

 

泡盛麹菌(あわもりこうじきん)とは

  • 黒麹菌のこと
  • 原料の米のデンプンを菌が、モシャモシャと食べてブドウ糖を生み出す
  • デンプン→ブドウ糖

泡盛酵母(あわもりこうぼ)とは

  • 泡盛麹菌が生み出したブドウ糖を、モシャモシャと食べてアルコールを生み出す
  • ブドウ糖→アルコール

 

 

泡盛の作り方(7):蒸留泡盛の作り方(7):蒸留

「それではいよいよ蒸留です!」

・・・と、ここで蒸留の仕組みを解りやすく解説します

 

「コップを見ていて下さい」

 

 

泡盛の作り方(7):蒸留02

アルコールを含んだ水を沸騰させると、水より沸点の低いアルコールの方が先に蒸気となってでてきます。次第にアルコールは減っていき、水の方が多くなります。それをどこで止めるかでアルコールの濃度が決まります。

 

「これが泡盛の場合、やかんの中身はもろみと言うことになりますが、蒸気のアルコール度数は初め70度で、10度になった時蒸留を止めると43度くらいの原酒が得られるんです。」

泡盛の蒸留とは

これまでの過程で造った「モロミ」に熱を加える。そして、そのモロミから発生した蒸気を集めること。

 

 

泡盛の作り方(7):蒸留03

泡盛の蒸留機のように、蒸留の都度発酵が終わったもろみを蒸留釜に入れて蒸留し、蒸留終了後、蒸留残液を蒸留釜より排出する形式の蒸留機を単式蒸留機といいます。

世界の伝統的蒸留酒はほとんど単式蒸留機で造られています。

泡盛が単式蒸留機を使っている理由は、蒸留機が古代ギリシャで生まれ、欧州はもとより、東アジア各地に蒸留機を育てた由緒ある蒸留機であり、もろみの香りをあますことなく引き出してくれるからです。

泡盛は単式蒸留機(たんしきじょうりゅうき)

泡盛を蒸留する時に使用する機械を「単式蒸留機」とよぶ。ちなみに、連続式蒸留器というものもある。

  • 単式蒸留機
    • 昔から使われている伝統的な蒸留する機械
    • 原料の香りを引き出してくれる風味豊かな味わい
    • 連続式蒸留機に比べ、蒸留に手間がかかるのでお酒の単価が高めになる
  • 連続式蒸留機
    • アルコールを効率的に取得することを目的とした蒸留機
    • 原料の香りや風味は残りづらいが、透明感の有るクリアな味わい
    • 単式蒸留機に比べ、効率的にアルコールを得られるので比較的お値段は安い傾向がある

 

 

泡盛の作り方(7):蒸留04

減圧蒸留では、蒸留機の内部の圧力を大気圧の1/10程度に下げ、もろみの温度が40〜50度の低温で蒸留できるようにしています。

そのため、熱による焦げ臭さがつきにくく、油成分のような沸点の高い成分は蒸留されずに風味の軽いタイプに仕上がります。

これに対して、通常の大気圧で蒸留を行う方法が常圧蒸留です。原材料の風味を出したい場合、古酒にして長期熟成させる場合は常圧が良いとされています。

 

「へぇ〜目的にあわせて使い分けているんだ」

 

  • 減圧蒸留(げんあつじょうりゅう)
    • 沸点87度(0.63気圧)
    • 焦げ臭がない
    • 風味が軽くソフト
  • 常圧蒸留(じょうあつじょうりゅう)
    • 沸点100度(1気圧)
    • コクがある
    • 熟成しやすく古酒向き

 

 

泡盛の作り方(8):貯蔵

泡盛の作り方(8):貯蔵

おっと、そろそろ見学に戻りましょう

 出来たばかりの原酒は貯蔵して熟成させます。熟成させると泡盛が空気を吸って芳香を増したり、アルコールと水が合わさって味がまろやかになります。

また、カメ貯蔵の場合はカメ表面から空気が出入りして泡盛が熟成されます。

 

 

3年以上貯蔵した泡盛は「古酒(こしゅ/クース)」という

泡盛の作り方(8):貯蔵02 古酒

泡盛は3年以上貯蔵すると熟成がすすみ、香りと口当たりがまろやかな古酒となります。この古酒が泡盛最大の魅力とされ、時間をかけて熟成した古酒は、旨味と香りが引き立ちとろりとした質感が出るほどのおいしい泡盛になっていきます。

泡盛の蒸留したての原酒にはガス臭と呼ばれるにおいがありますが、貯蔵する事によって消えていきます。

それから変化が静かに進行し、味が丸くなり落ち着いた芳香をおびていきます。

 

 

仕次ぎは伝統的な泡盛の貯蔵方法

泡盛の作り方(8):貯蔵03 仕次ぎ

古酒の品質管理は、品質維持をしながら長期間貯蔵を進める「仕次ぎ(しつぎ)」と言う方法を用います。

「仕次ぎ」とは、消費したり、蒸発した容量を次に古いお酒から補い、古いお酒の品質を維持し続ける方法です。このような技法で琉球王朝には何百年以上の古酒もあったといいます。

泡盛の古酒の定義が変わりました

平成16年5月までは、仕次ぎの技法で年数を維持してきた古酒51%以上で製品化したものに「◯年古酒」として販売できましたが、古酒の自主基準が制定された同年6月1日以降、古酒を製品化する場合、製品の全量が該当表示年数以上貯蔵したものにのみ「◯年古酒」という表示が許されています。

 

甕(かめ)を使って泡盛を家庭で保存する方法

泡盛の作り方(8):貯蔵04 カメ

「マスター!カメがあれば僕の家でも古酒ができるかな?50年ものに挑戦したいんだ」

「それはいいですね コツをお教えしましょう」

 

家庭で古酒を育てたい場合、保管する場所は高温多湿をさけた冷暗所が最適です。カメで長期熟成させる場合は半年に一回程度ふたを開けて外気に触れさせ、蒸発した容量を仕次ぎしながらお手入れすることが重要です。

泡盛を自宅で甕(かめ)にいれて保存する方法
  • しっかりフタを閉める
  • 高温多湿の場所を避けた冷暗所に保存
  • 半年に一度は蓋を開けて酒の状態を見る
  • 甕(かめ)に寝かせた酒は、きっちりとフタをしても少しづつ蒸発します。蒸発した分は、お好みのお酒を継ぎ足してください。

 

泡盛の作り方(8):瓶詰め&出荷

泡盛の作り方(8):瓶詰め&出荷

「貯蔵して品質が向上した泡盛は、瓶詰めされて私たちのもとへ届けられます。いかがでしたか?泡盛が出来るまでの旅、楽しんでいただけましたか?」

 

「泡盛はやっぱり作り方も独特ネ」

「暑い沖縄だから黒麹菌の泡盛が生まれたんだね。ルーツを知って他のお酒との違いがよくわかった!」

「皆さんすっかり通の仲間入りですね」

 

 

その他 泡盛の作り方に関する豆知識

その他 泡盛の作り方に関する豆知識

  • 原料米1キロに対して43度の原酒で1リッターの泡盛ができます。30度に割り水して製品化した場合、一升瓶で8割位の泡盛ができます。
  • 通常40時間で米こうじを造るのに対し、60時間程度の時間をかけることを老麹(ひねこうじ)といいます。
  • もろみの発酵で約2周間、蒸留に半日かかり、約16日~17日程度で泡盛は誕生します。ただし蒸留したばかりの原酒は熟成させてから製品化しますので酒造所によって違いがありますが、3ヶ月~1年位貯蔵してから製品として出荷されます。

「それをダイジェストで見てきたんだネ」

 

 

蒸留した後のモロミは健康酢「もろみ酢」として販売

その他 泡盛の作り方に関する豆知識 もろみ酢

「そういえば、蒸留した後のもろみは捨ててしまうの?」

「いえいえ、最近では蔵元に発酵食品の技術を導入して『もろみ酢』として製品化したりしています。クエン酸やアミノ酸がたっぷりですよ。」

「美容や健康にいいのよね~」

もろみ酢:アミノ酸とクエン酸がたっぷりなので健康に良いと話題の沖縄酢

以前から酒造所から発生する蒸留後のもろみは、『かしじぇー』といい家畜の豚に与えたり、畑の肥料にしたりして活用していました。

いい物をたくさん含んでいる事を昔の人も知っていたんですね。

「さて、店に戻って泡盛勉強会の続きをしましょうか!」

「そうこなくっちゃ!」

 

 

泡盛を好きになったら

泡盛を好きになったら、もっと泡盛の事を知ってみましょう。

きっともっと好きになりますよ。

なにせ泡盛は奥が深いのです。

泡盛の事を語りながら泡盛を飲むのも、また格別ですよ。

 

 

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